愛する人。





「……お願いします」



 ドキドキしながら受け答える。

 蓮くんは慣れた様子でアッという間に廊下を進んで行ってしまって。私は初めての純日本家屋を堪能しながら、後ろを着いていった。


 長い廊下を進み、ある襖の前で止まった。




「旦那さま。蓮さまがいらっしゃいました」



 お手伝いさんが襖を開け、蓮くんが中に入る。
 私も緊張で体を堅くしながら後に続いた。





 中は意外にも洋間になっていて、大きなソファーがコの字に配置されている。

 その一角に、男の人が座っていた。




「久しぶり、父さん」