愛する人。





 ……そんな顔、しないでよ。




「はぁ…。私こそごめん。
 忘れるなんてあり得ないよね」


 軽く落ち込む私の頭をポンと叩き、ニッコリ微笑むとキッチンに消えた蓮くん。

 私はそのままソファーに座りクッションを抱きかかえて彼を待った。





「はい、どうぞ」



 彼がキッチンからマグカップ二つを持ち、戻って来た。

 中身はコーヒーではなく、紅茶。少し甘めのアップルティーはなぜか落ち着く。



「おいし…」