愛する人。





「あっはっはっは!

 ふっくくくっ‥‥優子さん、そんな慌てなくても、大丈夫だよ。
 明日着る服なら用意してあるから。

 菓子折りも明日出かけがてら一緒に買いに行こう?」


 たまに噴き出しながら私の手を取りリビングに戻っていく彼。



「――っでも!」



「……始めから今日はどこにも行くつもり無かったから、全部用意してたんだ」



 彼の言葉に、それでも納得出来なくて。彼を見た。


 振り返った蓮くんは笑ってるのか困ってるのか分からない表情で、


「……言わなくてごめんね」



 少し震える声で、そう言った。