愛する人。







 私は何をするわけでもなく、ただ社長室にいる。


 チラリと蓮くんを見ると、眼鏡をして書類とパソコンと睨めっこ。
 ……そういえば、蓮くんの眼鏡姿を久しぶりに見たかも。でも……何気に眼鏡を着けてない彼が好きだったりする。


 あの鋭い獣の様な目で射抜かれたら、逃げられない。

 もっと力ずくで奪って欲しくなる。





「……退屈ですか?」


 物思いに耽っていると、蓮くんが苦笑いで私に言ってきた。



「ううん、そんなんじゃないよ。

 ……仕事難しそうね…」


 ソファーから蓮くんのデスクへ行くと、蓮くんは手を伸ばし私を捕まえて自分の膝に座らせた。

 そして、私の胸にゆっくり顔を埋めると、深呼吸をした。