愛する人。





チン……

 エレベーターが目的の階まで着くと、私の腕を掴んだまま


「海斗、後は俺に任せろ。
 お疲れさん」


 そう言って、海斗さんをエレベーターに残し私達は社長室に向かった。


 何度か届け物をするため来たことがある部屋。

 やっぱり、広い。



「キレイ…」


 社長室に入り、大きな窓をのぞき込んでいると


「優子さん……」


 ガラスに、私を後ろから抱き締める蓮くんが写ってた。


「優子…」


ドキンッ


 少し低い、男の声で私を呼ぶ。