愛する人。





「優子さんっ」

「優子です」

『えっ?』


「海斗くんだよね?
 今から責任もって会社に向かわせます。
 待ってて下さい」


ピッ


「優子さんっ」

「仕事、まだまだあるんでしょう?
 仕事はしなきゃダメ。
 私が居るからって理由なら、このまま私は帰ります」



 私の有無を言わさない言葉に、蓮くんは苦そうな顔をして電話を受け取る。



「……あなたと離れたくない。仕事も手につかなくなるんだ」