愛する人。





「蓮く…―――っ」



 いきなり私の後頭部を抑え引き寄せたと思ったら、息も着かせぬキスを降らす。




「――っ はぁ…」



 苦しくて、彼の首もとを引っ張っても、一向に止める気配が無い。

 酸欠で頭がクラクラし始めた頃。やっと私の唇を解放してくれた。




「……ごめん。

 早くあなたを感じたかったんだ…」


 そう言ったかと思うと運転席から降り、助手席のドアを開け、力が入らない私を引きずるようにエレベーターに乗せる。


 そして最上階に着くまでの間、啄むようなキスを繰り返した。