愛する人。





「この間はありがとう!かみさん喜んでくれたよ」


 私に近づきながら礼を言う石塚さんが、私の横の蓮くんに気付いた。



「えっと…何かあったのかな?」



 営業の人にも目を向け交互に見る。



「いえっ 自分は失礼します!」


 営業の人は真っ赤になりながら、逃げるように走り去った。




「ふっ 優ちゃんはモテるからねぇ〜」



 蓮くんと私を見ながらニコニコして、


「そんなに威嚇しなくて大丈夫だよ。僕は奥さん愛してるから」


 じゃあね、と帰って行った。