愛する人。





 グイッと肩を掴まれ、もう一人の男の人に抱き締められた。



 ……この匂いは…


「……蓮くん…」


「迎えに来た。帰ろう?」



 とろけてしまいそうな笑顔で言われてしまったら。

 私の顔は、ただ、ただ、熱くなるばかり。





「優ちゃん、お疲れさん!
 今日は早いね〜」



 後ろから聞こえた声に振り向くと、エレベーターから降りてきた石塚さんだった。

 その姿に気付いた蓮くんは途端に機嫌が悪くなった。


 もしかして……まだ疑ってるの?