愛する人。




―――――――――……
――――――――――――……



 坂を上ると桜が咲き乱れる。

 桜の散り際、風吹のように花びらが舞う。


 あまりの風の強さに目をつむると同時に、


「きゃ…!」


 女性の声がした。



「うわぁ〜すごい!乱れ咲き!キレイねぇ〜」




 目の前に女性が一人、桜を見上げて笑ってる。

 綺麗な笑顔で。



 その姿にしばらく見とれてた。




「優子!」


 女性の後ろに、知り合いだろうか、男性が呼び掛けてきた。


 彼女が振り返り、駆け寄った。

 男性に近寄り一言、二言話して男性は彼女の頭を撫でた。途端に彼女は顔を真っ赤にして俯く。

 彼はそんな彼女を愛しそうな瞳で見つめる。





 そして、二人並んで歩いていく。



 ……病院の中へ…。