愛する人。






「――は? お前、何言ってんの?」



 鼻で笑って海斗を見る。

 そんな俺を、海斗は表情を崩さず目も逸らさずに続ける。



「……お前じゃ無理なんだって。

『あの人』には誰も勝てない。ずっと二人を見てたお前なら分かるだろ?」

「うるせぇ!?」



 胸ぐらを掴み壁に海斗を押し付ける。睨みを効かせて。


 それでも、海斗は怯まない。



「蓮。お前の気持ちをずっと見てきた俺もこんな事言いたかねぇ。
 ……それでも、ダチとして言わせろ。

 彼女は諦めろ」