愛する人。





 何の手がかりもないままに居なくなってしまった。

 その事実に、体中の体力が消え失せた。



「お兄さんもとりあえず帰りなさい。ここに居られたら住人が困るから」




 ――彼女の居ない家に帰るなんて……。




 それでも帰ったら彼女がいるかもしれないと、また、自宅まで帰ってきた。



「――蓮!」


 車を駐車場に入れると、海斗が俺のマンションの前で待っていた。



「優子さんが居なくなったってどうゆう事だ?!」

「………」


 海斗の問いかけを無視してエレベーターに乗り込む。慌てて海斗も飛び乗った。