愛する人。




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『蓮!どうゆう事だっ 何があった!』


「……海斗……彼女が…彼女が居ないんだ…っ」




 俺は彼女の住んでるマンションのドアの前に座っている。

 インターホンを鳴らしても応答が無い。


 しばらく外で待っていると、管理人のおじさんが来た。



「……おたく誰?
 その部屋の篠田さんなら午前中に引っ越したよ」

「連絡先……連絡先教えて下さい!」

「……いや、私も聞いてないんだよ。
 急に決まったから家具はほぼ置いて行ったしね」


 俺の必死さに、最初は訝しげに見ていた管理人も眉を下げた。