愛する人。





「まだ18時だったんだ…」


 小さな声で呟いた一言は、彼に届いてたみたいで。



「お時間大丈夫ですか?」


 彼の声に顔を向けたら先ほど車にいたらしい男性が、


「……遅いですよ!
 すぐ出発しますから」


 そう言うと、後ろの席のドアを開けて乗るように促す。




 ……えっと…?



「どうぞ」


 戸惑う私に社長と呼ばれてた彼がニッコリ微笑んで左手を添える。



「……ありがとう」


 慌てて車に乗り込みドアを閉めると、反対のドアを開けてそのまま社長さんを乗せた。