愛する人。






 看護婦さんが用意してくれた簡易ベットから出て、彼のベットの端に座り上半身を彼に近づけた。



「……ゆ、うこ…」

「ん?」



「泣かない、で……?」


「…――っ」

「いった、だ…ろ?僕は、君の…」




「「ここに…いる」」


 彼の胸に、手をそっと乗せる。



「わすれ、ない…で?」



 そう言って。


 微笑む彼は美しい――…