「今、何て?」


レイカは聞き直す。


俺は横目で少年を見ると、彼はがたがたと奮えながら放心状態だった。


「先輩は峰宮后子を知っていますか?」


俺はもう一度口にすると、レイカは幸田にめくらばせすると、彼は少年をあやすかのように抱き抱え室内に入って行った。



「あなたが、后子様の弟君ね…」


「はい」



「悪いけど、あなたがあのお方のことを探っていることは既に知っているわ。そして、私から言えることは、あなたには申し訳ないけど、これ以上詮索はしないことね」


彼女が席を立ち上がり、去ろうとする背中に俺は問い掛けた。


「あの子は何か知っているんですか?」


彼女は振り向きながら、


「あなたは知るべき人ではないわ」


「俺は峰宮后子の弟です」



「あなたが知ることを后子様は望んでいるのかしら?」



意味深な事ばかりを告げる彼女の足はもう止まることはなかった。