「どうしたものか…」
俺は一人でつぶやく。
すると不意に服を引っ張られる感覚がし、振り向く。
そこには、指をくわえ、物欲しげな眼差しをお菓子に向けている、少女?いや少年がいた。
「どうしたの?」
俺は声をかけてみる。
すると、少々虚ろな瞳の少年は、俺と目を合わせ、くわえていた指をお菓子に向けた。
「食べたいのか?」
俺がそう聞くと、少年は何度も首を縦に振った。
(喋れないのかな?)
頭を過ぎった考えだ。
箱からケーキを取り出す。
少年の前に差し出すと、笑顔で
「ありがとう」
そう口にした。
ドキッ!
だめだ!
相手は男だ!
理性を保て俺!
だが、よく見てみると、綺麗な顔をしている。人形みたいだ。
目は大きく、今にも飛び出しそうなぐらいに開かれ、肌は白く、髪はボブで白っぽい。
(外人かな?)
俺は一人悶々と考えている。

