残されたあたしは今まで味わったことのないような安心感を味わっていた。

あたしが.....あたしが泣いてるなんて.....

しかも大嫌いな男の前で.....人間の前で......

弱みを....弱みなんか見せたくないって思ってた。

だけど、それはあたしの強がりだったんだ―――

だって、今、水野に...水野に知ってもらって、弱みを見せて安心しているあたしがいるから――

あぁ。もう強がらなくていいのかなって、水野はアイツとは違うって。

そんな期待までをも抱いているんだから。

それに、よく考えたら、彼の前では感情的になってる。

あんなに感情が現れなくなっていたのに、彼の、水野前では面白いように感情が溢れてくるんだ。

この日、この時、彼の優しさに触れて、あたしの水野に対する気持ちが変わった気がした。