…目を覚ませば、

いつもの光景が目に映る。

もう何年も同じものを見ている。

厚い壁で囲まれ天井付近に見える

小さな鉄格子から差し込む光が

まぶしく目に映った。

灰色の世界は、もう飽きるほど見た。

目線を下に向ければ鎖で繋がれた

手足が映っている。

何度目を覚まそうと、そこは

いつもと同じ場所。

逃げ道なんか、救いなんか

この場所じゃありもしない事だった。


「…幼い子は月に誓う…何度、愛されることを望んだことか…怒った神は真っ赤な世界を創り上げた…~」


何度も聴かされたあの歌が懐かしい。

「神なんか存在しないんだ!…もう何も信じない」


俺は、人間が大嫌いだ。

綺麗事を並べて生きることしかできない

人間が愚かで憎い。

”優しい貴方なら、きっといつかわかりあえる日がくるはずよ”

母さん、俺は貴女の言葉を

信じてよかったんですか?


俺は作られた機械。

今、世界を混乱させ二分させた

感情を持った失敗作のクローン。