ねえ、キスしてよ。



廊下から教室の中をのぞく


「どれどれぇ?」


咲は一生懸命航を探してるけど、


わたしは、教室を覘いた瞬間に、もう見つけていた


どんだけ好きなの・・・もう


最近伸びてきた黒い髪

本を持っているほそいきれいな指

本を読むときすこし目を細める、航の癖


すべてが愛おしくて、


もうあなたしか見えないよ


「あ、いたいた!おーい!たっかすっぎくーぅん!」


咲が大声で呼ぶと、スローモーションのようにゆっくりと顔をあげ、こっちを見る


そして、ふわんとした笑みを浮かべ


「あ、絵梨」


くあぁぁぁああ!!

可愛いっっ!

何回わたしを惚れさせれば気が済むんだろう・・・



「どうしたの?」


ドアのところに来て、首を傾げる