やっと目が覚めたのかこっちを向いてふにゃっとした笑顔を見せた。
ものすっごい癒し系。




「名前はー?」

『斉藤ひなたです』

「ボク小倉悟~。よろしくひなたちゃん」




部屋を見渡して見ると、たくさんの絵の具やパレットが置かれてあり、大きなキャンバスには桜の花が描かれている。
どうやらこの人が描いているらしい。




『すごい…』

「ああ~、これ?」

『上手なんですね!綺麗な桜の木……』

「今年も桜の季節だから。今年はいつもと一味違うし…。なんてったって、大事な季節だからね。

ねぇ、ひなたちゃんも新入生だよね?」


『…?はい』




小倉先輩の意味深な言言葉に疑問を浮かべながら返事をする。
あたしが返事をするとまたふにゃっとした笑顔を見せて、パレットに絵の具のチューブ色をひねり出し、キャンパスに筆を乗せた。




『あ、じゃあたし戻ります』

「うん。またね」




そう言い残して「フンフ~ン♪」とわけのわからない鼻歌を歌いながら絵を描きだす小倉先輩。




…なんか不思議な先輩だな、


そう思いながら歩きだした帰り道。




これから始まる学園生活はまだまだ始まったばかり。






‐出逢いは突然。……いや、必然?‐

(これからなにが始まるのやら)