「くぁあ。」
日の光が眩しすぎる。
「遥斗坊っちゃん。朝日が綺麗ですぞ。」
執事の高峰は、俺の部屋のカーテンを開け微笑んだ。
「高峰、眩しい。」
「すみませんでした。」
高峰はカーテンを閉め、目を閉じた。
「ラフ島は‘眩しい’なんて言えませんよ。」
高峰は昔、ラフ島に住んでいた。
「ラフ島はそんなにカーテンが多いのか?」
俺が率直に質問をすると高峰は、クスクスと笑いながら、「そうかも知れませんね。」と言った。
俺はこの島からも町からも、城からも出たことがない。

‘ダダダダダダ━━━━……ガチャッ’

息を切らし、大きな音を立て走ってきたのは、メイドの美音だ。
「なんだ、美音。朝から五月蝿いぞ。」
美音は一礼し、俺の部屋に入る。
「失礼しました。遥斗坊っちゃん、王様……雷斗様がお呼びです。」
「ぁあ…。」
俺はこの島の王子。
父親の雷斗は、この島の王だ。
俺は、ベットから重ぃ体を起こし、王室に向かう。
長い長いレッドカーペットを歩く。

* * *

‘遥………遥…斗………、遥斗………’

「ん?」
誰かに呼ばれた気がした。
まだ王室には着かないが、声のした部屋の方へと向かう。

‘遥斗…こっ………ち…。’

声はだんだん強くなる。
「ここだ。」
たどり着いたのは廃墟となった城に続く廊下の入口だった。
なんなんだ?
声の主は分からない。
女性の声だった気がしたけど。
俺は廃墟へと向かった。

‘ガチャッ………’

クモの巣や鼠があちらこちらに散らばる。
臭………。
何かないかと探す。
ん?
何か光る箱が棚の上にあった。
そっと近寄ってみると、その箱は結構大きくて、眩しく光を放っていた。
箱を手に取り、開けてみる。

‘ブヮアアア━━━━━…………’

大きな音と同時に光が目の前を包み込んだ。
俺は意識を失った。