「吸血鬼(バンパイア)を汚さないでくれる?」
あたしは警棒でそいつを突っつきながら言う。
「自分が吸血鬼みたいな言い方だな。」
「まあ、気にしないでよ。今日も街は平和ね。」
「吸血鬼が1匹の時点で平和ではないだろうが。」
「それ、こいつに向けないでね。」
あたしは彼が構える拳銃を指しながら言う。
「まだ血は吸われてないんだし。」
「吸われてからじゃ遅いって言ってるだろうが。」
「分かってるって。」
と言うとハア、と大きなため息をつかれた。
「じゃあ、これお願いします。」
マイクに向かって話しかける。
『わかった。』
耳につけたイヤホンから声がもれる。
「さ、帰ろう。」
コクっと頷いた彼を見て警棒をしまった。