「何、思い出してるんだよ。」
ツン、と知らず知らずのうちによっていた眉間の皺をつつかれる。
「今日はいつもどおりちゃんと頭領の仕事がこなせているかのチェックですから。」
あのあたしから全てをうばった彼もこの通り。
実は同じ一派で頭領の座を強奪しにきたらしい。
それも上からの命令で。
今では月に1回ほどのペースで来る。
あたしはやっぱり、この人を好きにはなれない。
上からの命令に従順で扱いやすいとも思う。
それに、中級忍者。
実力もそこそこだ。
「何回だって言う。なんであんたの上はあたしが持ってる頭領の座を奪いに来ないわけ?」
あたしはこんな座はいらない。
家族を奪ったこの肩書きなんていらない。
誰かを、ミカゲを守れるくらい強くなれればいい。
大切な人を守りぬけるくらい強くなれればそれでいい。
「上級忍者になったのだってあなたが史上最年少ですから。」
つまり、あたしには敵わないと。

