「またいらしたのですか?」
玄関のほうでミカゲの声がする。
「貴様になど、用はない。」
「・・・!」
相手はあたしのもっとも嫌いなやつ。
バタバタと玄関まで出て行った。
「ご無沙汰しています。」
できればもう二度と会いたくなかった。
「五十嵐千景。自らおでましか。」
「これ以上、ここで暴れたら許しません。」
年齢で言えば30ほど。
「ミカゲ、あたしのパートナーでしょ。」
「もちろん。」
こいつに会うのは10年ぶり。
「今は眼帯をつけてるのですか?」
「文句がありますか?」
「いえ、ないですけど。」
「なら、黙ってていただけますか?」
こいつはあたしから全てを奪ったやつ。
家族も、感情も、幸せも。

