Faily Tale


建物を出て、少し歩いた頃、俺はふと思った。

「乃愛のこと、どう思ってる?」

普通、パートナーと言えど、抱きつくことなんてない。

『なんとも』

スケッチブックで返ってきた。

こういうとき、この能力は便利だと思う。

俺たちの3歩・・・いや、10歩くらい後ろを歩く珠。

彼の能力は人の心を覗くこと。

長年一緒にいたわけだから俺も使える。

「何、凝視してんの。」

彼につっこまれるが、気にしない。

わくわくしてたまらない。

俺の弟は禁忌を犯そうとしている。

「陸翔、がんばれ。」

俺はそれだけ彼に伝えた。