「お前華弥誘うときに何て言った?」
俺が聞く。
彼には困った癖みたいなものがある。
「俺に付き合って…あれ、俺と付き合ってだったかな?そんな感じ。」
「理由はそれだ。」
「またやらかしたの?」
もがきまくってやっと抜けたらしい乃愛が言う。
「…どういうこと?」
朔弥が聞く。
「陸翔はこれにつきあってほしかっただけ。」
俺が言う。
「そか。」
気が抜けたように華弥が言った。
「今日はありがとう。またよろしくね。」
陸翔が言う。
乃愛と陸翔と俺らを残して彼らは去っていった。
「あたしも行く?」
「いい。」
「じゃ頑張るんだよ。」
彼女も去っていった。
「兄さん、行くよ。」
昔はいつだって俺が彼の手をひいていたのに。

