「兄さん?」
小首をかしげる彼。
彼に従えば俺の立場はきっと安定。
よき理解者である珠(タマ)も勧めてくる。
彼の近くにもいれる。
「さっさとしろよ。」
焦らせるのはしえる。
「やる。」
俺は今までの俺じゃない。
少しだけど自分を変える勇気を手に入れた。
ほんの一握りしかないかもしれない。
今の俺の精一杯の勇気。
「陸翔よかったね。」
彼に乃愛が微笑みかける。
「やったぁ!」
そのまま彼女に抱きつく。
「ちょっと陸翔!」
華弥が向かってくる。
「彼女の前でほかの女の子に抱きつくの?」
「…彼女?」
彼は乃愛を抱いたまま聞き返す。

