彼があたしの部屋を訪れたのは1時間後だった。
「手続きしちゃったけどよかったよね?」
あたしは頷いた。
いつまでもあってもしょうがないってことは分かってる。
「あれ、兄さんのせいなんだ。ごめん。」
声だけでシュン、としているのが分かる。
「ちょっと昔話、してもいい?」
あたしは頷く。
膝を抱えていたが、目を押し付けたせいで痛くなったのでクッションを抱いていた。
「あれ、俺の双子の兄さん。俺がここに来た理由は兄さんだし、この道で生きる理由も兄さん。」
彼は昔話、と言って自分の身の上話をしはじめた。

