Faily Tale


「ただいまー。」

返答はなかった。

「どうしたんだろうね?」

隣の彼は首をかしげる。

そして

「・・・」

言葉は出なかった。

涙も出なかった。

寝ているようだった。

でも胸部に刺さってるのはナイフで。

陸翔が冷静にあたしの両親の目を開いていた。

「だめ・・・」

ぼそっと彼が言う。

普段悪いことは言わないようにしている分、それは本当のことで。

「陸翔・・・」

呼んだのはあたしではなかった。

彼に似た声、彼に似た容姿、違うのは瞳の色。

色っていうか、透明感?