「結界。」
「聖史、そこ動くなよ。」
霊感が皆無の彼にはわからないだろうが、悪霊だ。
「結界。」
大きめの結界を張って被害が出ないようにする。
指先で印を描き、呪文を唱える。
悪霊はパッと消えるようにいなくなった。
「解。」
3つの結界を全部解除した。
「怪我ない?」
彼に問う。
「あぁ。俺には何があったか分からないけどな。」
ハハハ、と笑うところは彼らしい。
「よーいしょっ!」
朔弥があたしが飛び降りた窓から飛び降りる。
「姉ちゃん、かばん。」
どこかで(たぶん朔弥のところ)で置いてきたかばんを渡してくれた。
「ありがとう。さ、帰るよ。」
かばんを肩からかけて歩き出した。

