Faily Tale


あれ?

リズは?

隣を歩いていると思っていた彼の姿はなかった。

どこ行った?

「ごめんなさい。あたしちょっと仕事中ですので・・・」

「俺に血、めぐんでよ。」

耳元で言われ、とっさに警棒を取り出す。

「リズっ!」

こいつ、吸血鬼だ。

呼んでも彼は来なかった。

「何?こんな可愛い娘がハンター?笑わせる。」

「あたしの名は月に姫とかいてかぐや。」

「かぐ・・・や・・・?」

「聞いたことくらいはあるでしょう?純血の吸血鬼。あなたがあたしに勝つつもり?」

ブンブンと首を振って逃げようとした彼の襟をつかんだ。

「月姫。応答願います。」

『なんだ。』

「不正行為で1人、捕獲しました。送りますか?」

『判断はまかせる。』

「分かりました。」

「名前教えて。年齢は?住所は?何分の一?」

彼は丁寧に答えてくれた。

「じゃあ、最後に口あけて。」

牙はそんなにとがっていない。