「…っいたっ」 掴まれた手首には ありえない程の力が込められていて。 私のことなんてお構いなしに どんどんどんどん和樹先輩は 引っ張っていく。 抵抗はしなかった。 出来なかった。 危機感はなかった。 ただただ目の前の 先輩の背中が怖かった。 そのまま屋上の隅に 連れて行かれる。 先輩は急に立ち止まった。 何を言われるのか 何を考えてるのか 何も検討がつかなかった。 「……せん、ぱい?」 すると、いつもの 優しい表情で振り向く先輩。 「りお……」 .