《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜

(わかったって、どうして?

だって洸さんは、水瀬先輩の
ことなんて……)



先輩のことも、5年前の
あの出来事も、一度も
話してなんかない。

というか、誰にも話した
ことがないんだ。



だから、わかるはずなんて
ないのに――。




動揺するあたしの耳に――
ドア越しに、いつもより
ほんの少し低いトーンの
声が流れ込んでくる。



「アイツがあそこで働いてる
なんて知らなかった。

もっと何度も見学に行けて
たら、顔を合わせてたかも
しれないが。

知ってたら、間違いなく
辞めさせてたんだけどな」



「……………っ!?」


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