「あんなにジミだったのに、
まさかモデルになってる
なんてね。

いや、ホントに見違えたよ。

――あ、オレ、何ヶ月か
前からここで働いてるんだ」



そう言って彼は、胸元の
名札を指差す。



今日ステージからでは
見えなかったけど、やっぱり
ちゃんと、あたしのよく
知る名前が書いてた。

――“水瀬 雅人
(ミナセ・マサト)”って。



「水瀬先輩………」



もう二度と呼ぶことはないと
思ってた名前が、唇から漏れる。



目の前で笑う、昔と同じ
爽やかな顔を……あたしは
苦い思いで、ただジッと
見つめてた……。





     ☆☆☆☆☆


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