「洸……さん………」



トクトクと、速い鼓動が
聞こえる。



これはどっちの音だろう?


身を寄せ合った二人の鼓動は
溶け合ってしまってるから、
わからない。



「いいか千夜子。

オレがこんな話をするのは
今夜が最後だ。

でも、もう二度と忘れるな」



「は、はい……」



心地よい鼓動を聞きながら、
あたしは素直に返事をする。



自分でも思ったから。


今この瞬間を、決して
忘れちゃいけないって。




「もう一度だけ言う。

千夜子……お前は変われる。

オレは、変わったお前を
見ていたい。

――ずっと――…」


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