「何もないですよ」



結局あたしはそう言い訳をした。



でも璃子さんは引き下がら
なくて、グイッとあたしとの
距離を縮めると、



「ウソ。

見てればわかるよ。

……洸と何かあったの?」



「えっ!?」



洸さんの名前を出されて、
思わず上擦った声をあげて
しまう。



「やっぱりか。

どうしたのよ? また
キツイことでも言われた?」



「ち、違いますよ。

洸さんとは、何もないです……」



実際、あたしと洸さんの間に
直接何かあったわけじゃない。


……あたしは怖くて、何ひとつ
彼に確かめてもいないし。


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