《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜

―――無謀な――夢………。



その言葉が、熟れた林檎に
突き立てたナイフのように、
ザックリとあたしの心を貫き、
グチャグチャに掻き乱した。




―――車が道路脇に寄って、
ゆっくりと停車する。


聖恋さんの話は終わったらしい。



あたしはもう、嗚咽を
堪えるので精一杯だった。



だけどここでは――彼女の
前では、大泣きはしたくない。



「………………っ」



あたしは自らドアを開けて、
崩れるように車の外へ
飛び出した。



追いかけてくる声はない。



走り去る車の排気音を聞き
ながら、あたしはズルズルと、
その場に崩れ落ちた――…。





     ☆☆☆☆☆


_