でも、あたしは気づいた。



その栗色の髪と、さっき
聞こえた高い声に、なんと
なく覚えがあることに……。



(ま、まさか………!?)



「鈍いわね。

あなたよ、仁科千夜子サン」



ハッキリと呼ばれた名前。



もはやあたしも確信を持った。



「聖恋さん―――!?」



どうして彼女があたしを
呼ぶのか……それ以前に
なぜ名前を知ってるのかも
わからないけど。



でも目の前の人は間違いなく、
スタジオで一度会ったことの
ある、片桐聖恋だ。



「ど、どうして……!?」



「話があるの。乗って」


_