《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜

「業務連絡か? そんな
もの時間がずれたって――」



洸さんがちょっと怒った
ように声を荒げたけど、
瀬戸さんは腕時計を確認
すると大ゲサに目を丸くして、



「いけない。遅れると、
また文句を言われる。

それじゃあ僕はホールで
電話を済ませたらスタジオに
入るから!」



早口でそうまくし立てて、
もう出入口の所に立ってる。



そして出ていく間際、
どこか悪戯っぽい笑みを
浮かべてこう言った。



「マッサージができる人間は
他にもいるだろ、洸」


_