《完》シークレット・ティアラ 〜不器用なシンデレラ〜

璃子さんはそう言って
あたしを座らせ、全身を
覆うケープを着せると、
彼女の仕事道具に手を伸ばした。



「期待していいよ。

とびっきりかわいく
してあげる♪」



「……………!」



あたしはもう、文句も
言わず黙ってされるが
ままになってたけど――

本心では、逃げ出したい
ようないたたまれなさだった。



……こんな服、着たこともない。


お化粧なんて、ろくにした
こともない。



そんなあたしが“とびきり
かわいく”なんて、なれる
わけないし……

年寄りの冷や水じゃないけど、
不釣り合いなことをしてる
恥ずかしさがハンパない。


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