誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




「ありがとね…っ」

『え……』

「ありがとう…!」


杏ちゃんは、私に希望をくれた。

まだ私はやれるって。

そう思わせてくれた。


杏ちゃんから離れて笑顔を見せると、杏ちゃんも笑顔を見せてくれた。


『……いい加減、泣き止みなよ。』

「グズッ…まだ感動に浸らせてっ」

『クスッ……感受性豊かなことで。』

「…杏ちゃんのばかぁーっ」

『……超心外。』

「嘘に決まってんでしょーっ!?」

『ははっ…分かってるよ。』


この日知ったことは、



杏ちゃんは、言うことは言う人だ。