誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




『…!何で、泣いてんの…っ』

「ふぇッ……」


目をいっぱいに開いて驚く杏ちゃん。

気付けば私は涙を零していた。


だって……っ


「だって…杏ちゃんが、心を、開いてくれたんだもん…っ!」

『!!』

「あんなに、生きてるのに、死んだような雰囲気出してた杏ちゃんが、私に、自分を見せてくれたような気がして…っ…嬉しかったのっ…!」


まるでそれは、私は生きてるんだって、言ったように思えるほど…


「杏ちゃん…ッ」

『!、っ』


嬉しすぎて、杏ちゃんを抱きしめた。

私、絶対忘れない。

今日のこと。

杏ちゃんが、心を開いてくれたこと。

いつまでも、忘れない。