誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




『すぅ…すぅ……』


気持ち良さげに眠る秀人くん。

泣かせちゃった…。


ただでさえ、病にかかって不安定な状態である子どもたちなのに、自分のせいで泣かせてしまった…。

少しでも子どもたちの笑顔を増やしたいって、

そう思って小児科を希望したのに…。


「これじゃ看護師失格だね、」


でもね、子どもたちの笑顔、大好きなの。

やめたくはない、この仕事。


だって、私から仕事とったら、何も残らない…。


「…頑張るからね、秀人くん。」


眠っている秀人くんの小さな手を握る。

おねぇちゃん、頑張るよ。

秀人くんがもう、不安にならないように、泣かないように。

おねぇちゃん、頑張ってみせるから。


そう決意した私は、秀人くんの病室を出た――…。