誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




ガラッ

『あっ!愛実おねぇちゃん!』

「おはよう、秀人くん。」

『もうおひるだよ~!おねぇちゃんっ』


ありったけの秀人くんの笑顔。

やっぱり、私の癒しは子供たちだと、再確認した。


『どうしてさいきん、おねぇちゃんくるのおそいの?』

「ごめんね、……おねぇちゃん、今、最近忙しいの。」

『ぇえ~?なんでぇ?』

「秀人くん、」

『なんでっ、なんでぇ!?』


泣きそうな顔をする秀人くん。

でも、杏ちゃんのことを言うべきか、悩む。


「ごめんね、秀人くん。」

『グズッ…おねぇちゃんのばか。』

「うん、ごめん。」

『僕だってさみしいもん!』

「うん、そうだよね、」

『おねぇちゃんのそばにいたいもん!』

「うん、ごめんね。…ありがとう。」


泣きながら抱きついてくる秀人くんを、優しく、抱きしめた。