誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




『はぁ……』

「ぁの…?」


新様が何でため息をついているのかも、何で呆れ顔しているのかも、分からない。

勘違いって何…?

私、可笑しなこと言った?


『…彼女って何のこと?』

「へ?」

『迷惑って何。』

「ぁ…らた様…?」


目の前の新様から、ブラックオーラを感じる。

怒ってる…?


『俺の質問に答えて。彼女って何のこと?」

「そ、れは…っ」


そんなこと…っ!

私から言えないよ…昨日の、今日なのに…。


『――…俺、彼女いないよ?』

「···えっ!?」


聞き間違いじゃないかと思った。

新様に、彼女はいない…?

どっ、どうゆうこと?


「だっ…て…昨日…、」

『昨日?…もしかして、昨日俺を見た?』


苦い顔をした新様を前に気まずさを感じた私は、首を縦に振るのがやっと。

そんな私に新様は…――、


『昨日、俺の横にいた人、俺の姉さんだから。』

「――…え?」


さらに、バツが悪そうにそう言った。