誘い月 ―I・ZA・NA・I・DU・KI―




――それから、バーで裕南と遅くまで語り合った。


リョウくんと別れた経緯も、新様のことも話したし、

裕南のノロケに付き合わされたし、

…これからのことも話した。


楽しくて楽しくて、看護学校時代に戻ったみたいだった。

飲み明かしたあの日々。

レポートを書きあげていないときはいつも二人が助けてくれた。

今も、3人、居場所が違うけれど、助けてもらってる。

友達って、変わらず自分の支えになってることを、身を持って感じた。


「…もうこんな時間。旦那さん、心配してるんじゃない?もう帰った方が良いよ。裕南。」

『ん~…まだ飲み足んなぁい…!!』

「ちょっ、裕南!」


そろそろお開きにしようとも、裕南がベロンベロンに酔っ払ってて、全然立ってくれない。

もう…どっちが世話係なのよー…ッ

飲み更ける前に“今日は気にせず飲んで!私が介抱するから!”という裕南の言葉は嘘で、私が裕南の介抱をしている。

カウンターに逆戻りしたがる裕南の腕を掴んだまま、会計を済ませた私は、取り敢えずバーを出る。

やばい…私も飲んじゃったから、裕南を支えらんない…

どうやら私は悪酔いをしてしまったらしく、自分が歩くのに精一杯。

だれか手伝って…と、思ったその時…、


『裕南!?』


男の人の声が聞こえた。