『ダメダメなんかじゃないよ。』

「っ!!」


また俯きかけていた私に、裕南の強い眼差しが光をくれる。


『普通の女の子は、大抵こうゆう時、事実が怖くなるの。』

「ぇ…?」


普通の女の子は…?

事実が怖い…?


『好きな人の好きな人を目の当たりにして、事実を確かめたいと直感的に思う人なんて、そうそういない。事実から目を背ける人なら、五万といるけど。』

「そ…なんだ…。」


私みたいな人が、この世にいっぱいいるの…?

事実に目を背けながら、私みたいに生きてるの…?


『でも前の愛実は違った。絶対、自分に不利な証拠がそろってても、事実の可能性を信じてた。だから、ずっと思ってたんだ。愛実って、本当の好きって気持ち、知らないんじゃないかって。』

「……ぇ…?」


隙を突かれた。

本当の好きな気持ち、

その存在が、分からなかった。


『愛実は、恋愛に恋してたんだよ。』

「そ、んな…っ」


恋愛に、恋…?

頭が真っ白になる。

恋愛に恋って、どうゆうこと?

私は、付き合ってた彼たちのこと、好きじゃなかったってこと…?