『だから、立ち止まっちゃダメ。恋愛しないことなんて、絶対ないんだよ。いつかは誰かを好きになる。』
「でも…もう傷つくのは…っ!」
『それでも踏ん張るの。いつもの強気な愛実はどうしたの?前なら、浮気されてたって、いつかは自分に振り向かせるって頑張ってたじゃない。』
裕南が言ったことは、本当だった。
前の私なら、彼がどんなに浮ついて浮気してても、最後には私しかいないって気付かせるんだって、努力してた。
何か彼に異変があるような気がしたら、ちゃんと面と向かって本当のことを問い詰めた。
時には彼の家に張り込みしたことだってある。
そんな時、いつも私の心の中にあるのは、真実を知りたい、それだけ。
自分が泣くことになっても、事実を受け入れることが大切だと思ってた。
その事実が、真っ白で正しいものとは限らなくても――…。
「今の私…ダメダメなの…?」
それなのに、今はそんな気持ち、全然生まれない。
事実が怖い。
私にとって朗報である可能性が低いから。
どうして…?
どうしてこんな風になった?
何が私を変えたの…?

