『だから、もうおねーさんが泣くことなんかないよ。ね?』

「…ッ、新様…」


新様の言葉が、私に手を差し伸べているように感じた。


ねぇ、

新様は…

どうしてそんな優しい言葉を掛けてくれるの?

私、期待しても良いの?


『泣かないで。俺、おねーさんの泣き顔ばっか見てる気がする。もっと笑った顔見せて。』

「……っ」

『だから、泣かないの。』


また涙が溜まってる私を見て、新様がクスリと笑う。

…やっぱり、新様の笑顔が1番効く。

ほら、涙だってもう治まった。

新様の笑顔は、私が1番効く特効薬だ。


「……ありがとう、ございます…ッ」

『ぅうん。それでおねーさんの心が晴れたなら、別にいいんだ。』

「新様…、」

『…ねぇ、その“新様”って、もうやめてくれないかな?なんか…むず痒くてさ。』

「そっ、それは出来ません!私が“新様”と呼ばなくなったら、今後私は何て呼べばいいんです?」

『…ぃや、普通に“新”って、呼び捨てに――』

「!?」


新様を、私が呼び捨て!?

驚きすぎて、驚嘆の声は出なかった。